不妊治療は夫にとっても妻にとっても辛い経験です。

それは出口の見えないトンネルのようにいつ抜け出せるかわからないからです。

私たち夫婦の場合は子を授かりたいという気持に温度差がありました。

妻は子を強く望んでましたが、私はさほど望んでおりませんでした。

なぜなら、子ができた場合の心配ごとがたくさんあって、それならいっそいない方が気楽であると思ったからです。

例えばちゃんと健康にうまれ育ってくれるのか。学校ではいじめられないか、社会的な犯罪なんて起こさないか、将来安定した就職ができるのか。幸せな人生が送れるのか、などなどです。

子供がいるとこんな心配がずっとつきまとうと思うと別に無理して子を作らなくてもいいし、夫婦で旅行や自分の趣味に没頭するのもまた楽しい人生ではないかと私は考えていました。

この思い入れの違いが長い間不妊に苦しむ夫婦関係にはよかったのかと思います。

毎月繰り返される残念な結果に妻の心的ストレスはそうとう溜まっていったと思います。

こういう心的ストレスはからだにも影響を与え不妊の原因にもなります。

私は悩みを真剣に聞いてあげるよう努力し、その度に自分は子供はいなくてもいいと言っていました。

実際そう思っていましたし、まあそのうちできるだろうくらいの気持でいました。

子に対するこの温度差が多少妻のストレスを減らす手助けをしていたのではないかと思います。

本格的に子作りを始めた２年６ヶ月は基礎体温を記録し、自己流でタイミング法を行っておりました。

これが私にプレッシャーとストレスを与えました。

うまく成功させなければならないという義務感が私の体に重くのしかかります。

案の定うまくいかないときがあり、そういうときは真剣に落ち込みます。

今日が月１度のチャンスなのに失敗に終わったときの焦り。

自分の不甲斐なさで男としてのプライドも傷ついたこと。

これが怒りとなって現れます。

「だから子供なんていらないって言っていたのに。俺は子を作る道具ではない。」と言ってしまうのです。言わないでいることは、自分にストレスを溜め込むことになり決して良い選択とは思えないからです。

妻は立派です。そんな自分を責めたりしません。

もう作るのをあきらめようという話し合いが２度ほどありました。

自信も失いかけましたがその度に妻を悲しませるわけにいかないと思い、また頑張ってみようという気になりました。

不思議なもので調子の悪いときは長く続きませんでした。

おかげさまでＡＩＨ７回目のときは朝に人工授精をし、その日の夜、次の日の夜も、１日おいて夜という回復ぶりで、もしかしたら自然妊娠？と思わせるような充実ぶりでした。

こういったことが原因で崩れていく夫婦もあるみたいですが、お互い支えあい、思いやりの気持があれば幾多の夫婦喧嘩も乗りきれるものだと確信しています。

不妊治療で医療費控除

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